肌育とは

「皮膚科専門医 越智啓乃先生が解説する肌育とは」
越智 啓乃先生
経歴
順天堂大学医学部・大学院卒業
sowaka women’s health clinic勤務
資格
医学博士、日本皮膚科学会皮膚科専門医、日本フードドクター食医学協会認定フードドクター
所属学会
日本美容皮膚科学会、日本皮膚科学会、日本アレルギー学会
「肌育」とは
「肌育」とは、肌の土台を整える、肌を育てることを目的としたケアや治療をさす言葉です。
美容医療領域ではよく聞く言葉で、肌の表面だけを綺麗にしていくよりも、肌の土台=内側にアプローチする治療として、最近着目されているワードです。
綺麗なお花や美味しいお野菜を育てようとする時、土壌が整っていないといくらタネを蒔いたり、お水や肥料をあげても、美しく育たないように、肌も土台を整えることが肝心なのです。肌の土台が整うと、内側から潤い、肌のハリと艶が増します。
「肌育」の背景
肌は年齢とともに変化し、乾燥や紫外線など様々な環境因子の影響や加齢性の変化が加わり、やがて老化していきます。
目に見える肌老化としてあげられるのは、主に肌のハリや弾力の低下によるたるみやシワの増加、メラニンの増加によるシミやくすみの出現などですが、肌の内側ではいったい何が起きているのでしょうか?
皮膚は表皮と真皮の2層で成り立っています。表皮は通常28日~45日周期で新しい細胞へと生まれ変わるターンオーバーを繰り返しています。皮膚のターンオーバーは年齢とともに遅くなり、20歳頃は約28日、30~40歳代になると約45日程度になると言われています。
加齢に伴いターンオーバーが鈍くなると、表皮が薄くなりシワが増加します。そして古い角質やメラニンが肌表面に残り、くすみやシミの原因となります。真皮は肌のハリや弾力を支える部分ですが、30代頃からコラーゲンやエラスチンを産生する線維芽細胞の働きが弱まります。線維芽細胞の老化によりコラーゲンやエラスチンの変性や減少、断裂が起こると、肌が弾力を失いシワやたるみが生じます。
またヒアルロン酸の減少により、肌の水分量が低下し潤いのないしぼんだ印象を与えるようになります。肌の内部ではこのような複雑な変化が起きているのです。
越智先生が考える「肌育」
肌育とは肌トラブルのない健やかな皮膚が本来持っている透明感と滑らかさを引き出すことです。
それには皮膚のターンオーバーがスムーズにおこなわれ、角層・表皮・真皮が十分に潤っていることが大切。お顔の皮膚は日々、乾燥・紫外線・摩擦・アレルゲンなどにさらされ、過酷な環境にあります。また、体のホルモンバランスや睡眠などの生活リズム、栄養バランスにも大きく影響を受けています。そんな大きく変動する環境からのダメージを減らし、ゆらがない肌を育てる助けとなるのが、皮膚の専門家が開発に携わっているドクターズコスメの役割だと感じています。
✔︎肌の土台を整えるには、角層の内側の潤いがもっとも重要
十分に保湿された皮膚はターンオーバーがスムーズで透明感があり、肌のバリア機能も正常にはたらくため、外部からの刺激に対して赤みや痒みが出ることを防いでくれます。
油分で覆うだけの保湿ではなく、きちんと水分を蓄え保つことができるセラミドなどの保湿成分が大切です。
✔︎肌に潤いを与えるための保湿、そして肌を整え活性化させるのが「ピュアビタミンC」
ビタミンCには肌を美しく保つためのさまざまは効果があります。
・強力な抗酸化作用で活性酸素からのダメージを防ぐ
・過剰な皮脂を抑え、ニキビや毛穴などのトラブルを防ぐ
・メラニンの合成を抑え、すでにできたメラニン色素を淡色化する
・皮膚のターンオーバーをうながし、角化を正常化する
・コラーゲンの合成を促進し、皮膚にハリをもたらす
日頃診療をする中で、どんな肌質の方にも共通してメリットがあるのが『保湿』と『ビタミンC』だと感じています。その中でも、私自身がより確かな効果を実感できたのがヒト型セラミドやピュアビタミンCでした。
お家でできる「肌育」2ステップ新習慣
今回考えたお家でできる新習慣は、ピュアビタミンCをお肌に入れて、ピュアビタミンCを肌の中にできる限り留まらせながら保湿するシートマスク。
元々自分自身がホームケアの効果を高めるために色々試す中で、美容液を塗った上からシートマスクをして十分浸透させるという方法が気に入っておこなっていました。
肌なじみの良い美容液と、密着効果と保湿力の高い素材のシートマスクという相性、そして含まれる成分も互いの効果を補い、より高めあえる成分を配合することで、確かな相乗効果が出せると感じています。
学会でもご活躍されている皮膚科専門医に聞いてみました

渡邉 千春先生
経歴
千春皮フ科クリニック 理事長·総院長
東京医科大学卒業
資格
医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本レーザー医学会專門医
所屈学会
日本皮膚科学会、日本レーザー医学会、日本プラセンタ医学会、AMI Japan Senior Trainer(アラガン社指導医)、日本アレルギー学会、日本臨床皮膚科外科学会、日本抗加齢医学会、Dr.OBAGI認定医、日本美容皮膚科学会、日本医学脱毛学会
肌の内側へのアプローチで肌の本来の代謝を活性化。ビタミンCが代謝の鍵
ビタミンCの作用としては、抗酸化作用とメラニン色素還元作用が代表的です。光老化の一つであるシワの原因となる活性酸素の作用を弱め、黒色メラニンの色調を淡くすることで肌に透明感を与えます。また肌の新陳代謝(ターンオーバー)を高めて、キメを改善し、肌のざらつきを目立たなくしてくれます。さらには潤いを与え、毛穴の目立ちにくいなめらかな肌へと導きます。ビタミンCはこのように肌にとって重要な働きを持っている成分です。

今泉 明子先生
経歷
今泉スキンクリニック 院長
聖マリアンナ医科大学·大学院卒業
資格
医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
所属学会
日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本美容皮膚科学会、国際美容外科学会、日本小児皮膚科学会、日本皮膚アレルギー学会
肌育の柱は水分保持とバリア機能
セラミドは角質細胞間脂質の一つで、角層の水分保持とバリア機能に重要な働きがあります。セラミドも化粧品に配合されることが多くなりましたが、さまざまな構造のセラミドが使用されています。中でも、私たちの肌のセラミドに近い構造を持つ、いわゆる「ヒト型セラミド」は高い保湿効果とバリア機能が期待できる成分です。
効率的に保湿できる方法の一つであるフェイスマスクの一般的な素材は不織布です。一方、特殊素材の一つであるパイオセルロースシートとは、植物由来の原料をナタ菌で培養発酵させることで作られるナノ線維シートです。キメ細かい繊維から構成され、ひんやりとした肌触りから鎮静効果があり、繊維間に大量の保湿成分を保持することが可能で、長時間持続する保湿効果が期待されます。また、肌に密着する質感は不織布マスクでは得られない心地よさがあります。